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21-03

「背中を洗ってくれないか」
と、パパに言われた。
この父というのは、実は妻の父親である。

わたくしは一瞬戸惑ったが、
「え?!あっ!はいっ」
と言いながらタオルを構え、パパの背中にあてがった。

初めてお父さんの背中というものに触れた。
なんか丸っこくて大きくて、何だかゴツゴツしている。

上手に洗ってあげようと思えば思うほどうまくいかない。
タオルがねじれてしまう…

今度はパパが私の背中を洗ってくれるらしい。
おれは静かに親父に背を向ける。

パパは、なんていうか、力加減を知らない。
すごく力強くて、体についている必要なものまで
洗い流されてしまいそうな感じ。

思わずオレは、身をよじってしまった。
「すまん」パパは申し訳なさそうに、
「息子の背中を洗うのは難しいな」と言った…

ミーは物心のついたころから、
女手ひとつで育てられてきた。

我が家にお父さんがいないことを悲しがらなかったのは、
お母さんの育てかたが上手だったからだと思う。
溢れんばかりの愛を注いでくれたので、
俺はとても幸せだった。

とは言え
父のことを思わなかった訳ではない。

ただ、そのとき私がイメージするものは
どれも好感の持てないものばかりだった。

無口!ガンコ!厳しい!
正直、「パパは怖い」という印象しかなかった。

そんなおれに父ができたのは、
ボクが結婚をしたからだ。

妻のパパは、わたくしにとって不思議な存在だった。
格好なんてつけない。不器用だけどまっすぐ。褒められると照れ隠しする。
大きなお世話なことばかりする…

あたしは、お父さんというものに対する印象が
まるっきり変わった。

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